2008年06月26日

二重派遣とは

労働者派遣大手のグッドウィルが廃業を発表しました。理由は二重派遣問題で厚生労働省が同社の労働者派遣事業許可を取り消す見通しとなったことなどがあげられています。

この二重派遣とはどのようなものでしょうか?

また、労働者派遣法には、「労働者派遣事業を行うものは、労働者を再派遣してはならない」という旨の規定はありません。
では、どうして二重派遣は違法なのでしょうか?


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話を戻します。


(1)労働者派遣とは

労働者派遣法が定義する労働者派遣とは、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。」(労働者派遣法第2条第1号)としています。

したがって、労働者派遣の場合は、通常の雇用関係のように事業主と労働者といった関係だけでなく、
1.派遣元事業主と派遣労働者の間に雇用契約
2.派遣元事業主と派遣先事業主との間に労働者派遣契約
3.派遣先事業主は派遣労働者を指揮命令して労働に従事させる
という関係にあります。

見づらいですが、図に書くとこんな感じです。


  派遣元事業主←(労働者派遣契約)→派遣先事業主
       ↑           ↑
      (雇用契約)   (指揮命令)
           ↓   ↓
           派遣労働者


(2)労働者供給事業の禁止

職業安定法第44条では、「何人も、次条に規定する(注:労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる)場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。」として労働者供給事業を禁止しています。

ここでいう労働者供給事業とは、労働者の供給契約に基づいて自己の雇用しない労働者を他人の指揮命令を受けて労働させることと考えられます。

当然ながら、この労働者供給事業には労働者派遣事業は含まれません。


(3)二重派遣とは

では、本題の二重派遣とはどのようなものでしょうか。

二重派遣とは、元請派遣元事業主が下請派遣元事業主から派遣を受けた派遣労働者を、さらに業として第三者である注文者(派遣先事業主)へ再派遣することをいいます。

例えば、注文者(派遣先事業主)と派遣元事業主が労働者派遣契約を締結したが、自社では派遣すべき適当な労働者がいないとき、それを別の労働者派遣事業者と労働者派遣契約を締結し、派遣労働者を自社の派遣労働者として注文者(派遣先事業主)に派遣する場合などが考えられます。

図で書けば、次のようになります。


注文者(派遣先事業主)←←←←←
    ↑           ↑
(労働者派遣契約)       ↑
    ↓         (指揮命令)
元請派遣元事業主        ↓
    ↑           ↓
(労働者派遣契約)       ↓
    ↓           ↓
下請派遣元事業主←(雇用契約)→派遣労働者


上記の関係を整理しますと、

1.下請派遣元事業主が雇用する派遣労働者を元請派遣事業主が直接指揮命令し、労働に従事させることは、前述のとおり、労働者派遣法が定義する労働者派遣に該当します。

2.ただし、元請派遣元事業主は、さらに自社の雇用していない派遣労働者を派遣し、注文者(派遣先事業主)の指揮命令の下で労働に従事させているわけです。

ここで、禁止されている労働者供給事業を思い出してください。

労働者供給事業とは、自己の雇用しない労働者を他人の指揮命令を受けて労働させることでした。

よく見ると上記2.の下線部分と同じ意味ですね。

したがって、注文者(派遣先事業主)と元請派遣元事業主との契約上は、「労働者派遣契約」ですが、実質は「労働者供給事業」であると考えられます。

このように、二重派遣は、職業安定法の禁止する労働者供給事業に該当するため、違法とされています。


<参考文献>


二重派遣だけでなく、労働者派遣と請負、業務委託、出向との法律的な違いや偽装請負と言われないような業務請負・業務委託の実務などが詳しく解説されています。
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