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2008年06月30日
会合出席後、どの程度が通勤災害にあたるのか
会合等の出席後、通勤災害として労災保険の給付が認められる範囲はどの程度までなのでしょうか?
次の6月25日の東京高裁判決をみてみましょう。
(原文 労災認めず、妻が逆転敗訴/帰宅中、駅階段から転落死から引用)
勤務先の会合で飲酒後、帰宅途中に駅の階段から転落死した建設会社部次長=当時(44)=の妻が「通勤災害に当たる」として、遺族補償などを不支給にした中央労働基準監督署(東京)の処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は6月25日、労災と認めた1審判決を取り消し、妻の逆転敗訴とした。
宮崎公男裁判長は、会合への参加を業務と認定した上で「業務性のある会合は退社の約3時間前には終わった。次長はその後も酒を飲み続け、帰宅時には部下に支えられてやっと歩ける状態だった。この酩酊ぶりが転落事故に大きく影響しており、通勤災害と認められない」と判断。妻の請求を棄却した。
昨年3月の1審東京地裁判決は「飲酒は多量ではなく、酔いが事故原因ともいえない。雨の影響で足元も滑りやすかった」と労災認定し、労基署の処分を取り消した。
判決によると、次長は1999年12月1日、東京都中央区の勤務先で午後5時から開かれた会合で缶ビールやウイスキーなどを飲み、午後10時15分ごろ退社。最寄りの地下鉄日比谷線築地駅入り口の階段から転落、頭を強く打ち死亡した。
(共同通信)6月27日
次の6月25日の東京高裁判決をみてみましょう。
(原文 労災認めず、妻が逆転敗訴/帰宅中、駅階段から転落死から引用)
勤務先の会合で飲酒後、帰宅途中に駅の階段から転落死した建設会社部次長=当時(44)=の妻が「通勤災害に当たる」として、遺族補償などを不支給にした中央労働基準監督署(東京)の処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は6月25日、労災と認めた1審判決を取り消し、妻の逆転敗訴とした。
宮崎公男裁判長は、会合への参加を業務と認定した上で「業務性のある会合は退社の約3時間前には終わった。次長はその後も酒を飲み続け、帰宅時には部下に支えられてやっと歩ける状態だった。この酩酊ぶりが転落事故に大きく影響しており、通勤災害と認められない」と判断。妻の請求を棄却した。
昨年3月の1審東京地裁判決は「飲酒は多量ではなく、酔いが事故原因ともいえない。雨の影響で足元も滑りやすかった」と労災認定し、労基署の処分を取り消した。
判決によると、次長は1999年12月1日、東京都中央区の勤務先で午後5時から開かれた会合で缶ビールやウイスキーなどを飲み、午後10時15分ごろ退社。最寄りの地下鉄日比谷線築地駅入り口の階段から転落、頭を強く打ち死亡した。
(共同通信)6月27日
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話を戻します。
(1)通勤災害
通勤災害と認定されるためには、まず、災害を被ったのが「通勤」の途上でなければなりません。
労災保険法第7条第2項で、「通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。」とされています。
また、同法第7条第3項では、「労働者が前項の往復の経路を逸脱し、又は同項の往復を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項の往復は、第1項第2号の通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りではない。」としています。
ここで、
「就業に関し」とは、その往復行為が、業務と密接な関連をもって行われる必要があります。
「住居」とは労働者が日常生活をしている家屋などの場所をいい、「就業の場所」とは業務を開始し、または終了する場所をいいます。
「合理的な経路及び方法」とは、住居と就業の場所との間を往復する場合に、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び手段をいいます。
「業務の性質を有するもの」とは、業務災害とされるものをいいます。
「逸脱」とは、通勤の途中で就業又は通勤とは関係のない目的で、「合理的な経路」からはずれることをいい、「中断」とは、通勤のための経路を外れてはいないが、その経路上において通勤とは関係のない諸行為を行うことをいいます。
「厚生労働省令で定めるもの」とは、
1 日用品の購入その他これに準ずる行為
2 公共能力開発施設において行われる職業訓練等で職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
3 選挙権の行使その他これに準ずる行為
4 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
です。
(2)冒頭の判決について
通勤災害であると認められるためには、その往復行為が、業務と密接な関連をもって行われる必要があります。
ここでいう業務とは、日常従事している業務そのものだけではなく、会社が主催する会合等に参加する場合なども通勤に含まれます。
また、終業後、自宅に帰るまでに他の場所に寄った場合でも、たとえば業務に関連する会合に参加して、その後短時間の懇親会に出席した後の帰宅途上の災害が通勤災害と認められた例もあります。(大河原労基署長(JR東日本白石電力区)事件 仙台地判平成9年2月25日)
また、行政通達では、「業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席した後に帰宅するような場合は、社会通念上、就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除き、就業との関連を認めても差し支えない」としています。(昭和48年11月22日基発第644号)
ここで、大河原労基署長(JR東日本白石電力区)事件をみてみますと、JR東日本の助役であった労働者が、経営知識の修得等を目的とする管理者会と呼ばれる会合に出席した後、自転車で帰宅途中に転倒して死亡した事故でした。
労働基準監督署長は、通勤災害に当たらないとしましたが、右管理者会は少なくとも懇親会に移行するまでは業務であり、移行した後も懇親会の時間が約55分間に過ぎなかった点、簡単な料理とアルコールが少量出ただけであり、費用も一人当たり2000円である点等を考慮して、懇親会移行前の業務とその終了後の帰宅行為との間の関連性は失われていないとして通勤災害であると認めました。
そこで、冒頭の判決ですが、裁判所は「業務性のある会合は退社の約3時間前には終わった。次長はその後も酒を飲み続け、帰宅時には部下に支えられてやっと歩ける状態だった。」として、「この酩酊ぶりが転落事故に大きく影響しており、通勤災害と認められない」としています。
先ほどの行政通達から考えても、会合等に出席した場合、社会通念上、就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合は、就業との関連を認められないと解すべきでしょう。
この「長時間」について、別の行政通達では、組合の用務の1時間25分は「長時間ではない」として通勤災害を認めているケース(昭和49年3月4日基収第317号)や2時間50分のサークル活動は「長時間に当る」として通勤災害を認めていないケース(昭和49年9月26日基収第2023号)があります。
したがって、会合に出席した場合、帰宅までの時間が1時間程度であれば、長時間とはいえないとして、就業との関連性は認められるが、会合が2時間程度なのに対してその後の時間(懇親会?)が3時間程度であれば、この長時間にわたる懇親会が業務に関連しているとはいいがたいと裁判所は判断したものと考えられます。
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Posted by 労働法ブログ at 14:00│Comments(0)│TrackBack(0)
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